昔から、日本人女性が髪の毛につける整髪料として親しまれている椿油。
髪の毛の保湿のために利用しているという方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな椿油が髪の毛にとって具体的にどのような効果があるのかということや、食べる場合はどのような方法で使用することができるのか、ということをお伝えいたします。
女性の薄毛に効果のある椿油とは?
日本人らしい黒い髪の毛をさらにツヤツヤにする椿油。
この椿油をモチーフにしたシャンプーも販売されています。
髪の毛と関わりの深い椿油は、どのような効果があるのでしょうか。
椿油とは?
椿油は、その名前の通り椿から取れる植物性の油です。
少し詳しく言うと、ツバキ科ツバキ属のヤブツバキの種子から抽出される油です。
髪の毛につける化粧品としての目的だけではなく、食用にも使用され、その他、石鹸や薬品などにも使用されることがあります。
少しマイナーな使用方法だと、日本刀を磨くための油として使われたり、将棋盤や将棋の駒など、木製の製品にツヤを出すために使用されたりすることもあります。
椿(ツバキ)の生態について
椿は、冬から春にかけて開花する花で、葉っぱの裏側に隠れるようにして花が咲くのが特徴です。
常緑樹なので、1年を通して葉が生えています。
葉はやや細長く、大きめの葉が生えています。
日本原産の植物で、本州から、四国、九州、沖縄、その他、亜熱帯地方に生息しています。
サザンカとよく似ていることで知られていますが、細かないくつかの特徴で、見分けることができます。
成長した椿は、樹高が20mほどになり、過去には建築材としても使用されていましたが、日本にある椿の大木は、ほとんどが伐採されてしまい、現在椿の大木は入手しにくい状況にあります。
椿油以外(髪以外)のツバキの用途
前述のように、椿は過去には建築資材として使用されていましたが、現在では椿の大木が生息していないため、建築目的で使われることはほとんどありません。
木目が目立たず、摩耗に強いという特徴から、将棋の駒などといった工芸品に使用されることが多いです。
また、日本酒を醸造するためには木灰が必要ですが、最高ランクの木灰は椿の木灰だとされています。
その他、品質の高い木炭として使用されたり、葉っぱから出るエキスが止血薬として使用されたりしています。
そして、この記事のテーマである椿油は、髪の毛に使用される用途以外にも、高級な食用油や、灯りなどの燃料油としても使用されていました。
また、油を抽出する際に出る油かすには、毒性があるため、油かすを川上から流すことによって、川魚や川エビ、タニシなどを麻痺させて捕獲する毒もみ漁という漁にも使用されました。
薄毛効果がわかる以前から女性に人気の椿油の歴史
椿は、日本原産の植物で、世界的にも人気があります。
椿油を中心として、椿の歴史を見ていきましょう。
日本の歴史
椿は日本原産の植物です。
そのため、歴史上最も初めに登場する場所も日本です。
原生地は、北九州だといわれています。
630年から894年見かけて遣唐使が唐に送った贈り物の中に、椿油があったという資料もあります。
そして、椿油が資源として日本の歴史に登場したのは平安時代の初期です。
現在のように髪の毛に使われるだけではなく、食用や、灯り用、そしてなんと不老長寿の薬としても使われていたようです。
江戸時代には、大名や公家が園芸を好んだため、庶民の間でも流行し、様々な品種が作られるようになりました。
茶道の世界でも、椿は人気があります。
寒い冬の季節は、茶席が椿一色になるため、「茶花の女王」とも呼ばれています。
競馬の世界では、椿の花が落ちる様子が落馬を連想させるため、競走馬の名前や馬術の名前としては避けられています。
世界の歴史
椿は、17世紀にヨーロッパで書物によって紹介されました。
その後、18世紀にゲオルク・ヨーゼフ・カメルが、椿の種をフィリピンで入手し、ヨーロッパに持ち帰りました。
そのため椿にはカメルという洋名が付けられています。
冬でも枯れることがなく、日陰でも花を咲かせるという性質が西洋では好まれ、西洋人が好む派手な花をつける品種の椿が作られるようになりました。
つけたら女性の薄毛に効果があるじゃない?食べても効果的な椿油
椿油といえば、髪の毛につけるというイメージが強いものですが、高級な食用油としても使われています。
わかりやすく言えば、オリーブオイルの上位版という形になります。
食用として販売されている椿油も存在し、椿特有の香りを放つものや、臭いを消されているものなど複数の種類がありますので、好みに応じて使ってみると良いのではないでしょうか。
食べた時の体への効果
椿油には、オレイン酸が多く含まれているため、血中コレステロール値を下げる働きがあります。
しかも、善玉コレステロールは下げずに、悪玉コレステロールだけを下げるという特徴があるので、健康診断の結果コレステロール値か思わしくなかった方におすすめです。
また胃腸にやさしい性質があり、便秘の解消にも効果的です。
調理の利用方法
椿油が100%の油はしっとりしすぎてしまうので、他の植物の油とブレンドして使用するという方が多いです。
オリーブオイルと似ている性質を持っているため、オリーブオイルと混ぜて使用するのがお勧めです。
最もおすすめの椿油の使用方法は天ぷらです。
江戸時代の一部の高級な天ぷら屋さんで椿油は天ぷら油として使用されており、徳川家康は椿油で天ぷらを揚げて食べていたといわれています。
椿油で天ぷらを揚げると、さらっとしているので胃もたれしにくくなります。
その他にも、炒め物や揚げ物といった和食だけでは無く、イタリアンなどにも使うことができます。
お味噌汁にスプーン一杯の椿油を入れて健康のために飲むという方も多いようです。
食べる際の注意点
椿油に豊富に含まれているオレイン酸は、便秘を解消する効果が期待されていますが、逆に言えば、過剰摂取することによってお腹がゆるくなってしまうという作用もあります。
そのため、お腹が弱い人は少しずつ摂取するようにしましょう。
また、椿油は高級であることやオレイン酸が多すぎるということから、他の油と混ぜて使用されることも多いです。
お腹の調子が気になる方はオリーブオイルやごま油、菜種油などとブレンドして使用すると良いでしょう。
高級天ぷら屋さんでもブレンドした椿油を使用しているそうです。
保存方法の注意点
椿油は、酸化しにくいという性質があるので、日持ちはしやすいのですが、使用期限は定められておりその期限を過ぎると品質を低下させてしまう可能性があります。
保管する際には、できるだけ直射日光の当たらない場所で、なおかつ気温が低すぎない場所に置きましょう。
保管の際の温度が低すぎると、オイルが白く濁ってしまうことがあるそうです。
空気に触れることで酸化しやすくなってしまうので、フタは常にしっかりと閉めておく必要があります。
女性の薄毛に効果的な椿油の使い方
椿油は、髪の毛のケアだけではなく、薄毛の予防や改善にも高い効果があります。
薄毛の原因は雑菌の繁殖や乾燥、血行不良などですが、椿油には、これらを改善してくれる作用があるのです。
殺菌・クレンジング
椿油には、サポニンという殺菌成分が含まれています。
サポニンは、昔からノミやシラミを駆除するために使用されてきた成分で、肌に塗るとニキビが改善されます。
サポニンは、界面活性剤と同じ働きをします。
界面活性剤は、洗剤などに含まれていて、肌にとっては刺激が強いものですが、このサポニンは人体に無害です。
殺菌作用が高いということを利用して、椿油を抽出する際に取れる油かすを、肥料として畑に撒くことで害虫駆除の効果もあるそうです。
その他、アトピー性皮膚炎の患者が椿油を患部に塗ったところ症状が改善されたという効果も実験により証明されています。
頭皮に住んでいる菌は、繁殖すると炎症を起こしてしまう可能性があるため、椿油を塗ることによって雑菌の繁殖を抑え、炎症を防ぐという効果があるのです。
保湿・トリートメント
明治時代以前の人は、リンスやトリートメントなどは使わず、椿油で髪の毛を保湿していたそうです。
シャンプーの後に洗面器にお湯を入れ、そこに椿油を2滴から3滴垂らし、そのお湯を髪の毛につければ、リンスやトリートメントをしなくても、しっとりとした髪の毛ができ上がります。
天然成分のトリートメントになるということですね。
頭皮の乾燥はフケや炎症の原因になってしまいますので、保湿効果は薄毛の予防になります。
頭皮マッサージ
椿油を頭皮に塗った状態でマッサージをすると、血行促進とヘアパックの両方の効果があるのでお勧めです。
椿油は頭皮への浸透も高いので、頭皮全体を保湿する効果もあります。
まとめ
- 日本では平安時代から椿油は髪によいとされていた
- 椿油を食べることで体の中がきれいになる
- 椿油の品質を維持するために、直射日光と酸化を防ぐようにする